韓国のIFACではPSO(Particle Swarm Optimization)という最適化アルゴリズムを使った固定構造補償器設計について発表してきました.
発表のメインは,制御系設計で必要となる拘束条件(閉ループの安定性とか)を簡単に扱う方法の提案で,これによってPSOのお手軽さを損なわずに制御系設計をすることが出来ます.
PID制御器のチューニングみたいな,設計変数が少なくて,それでいてパラメータの増減と性能との因果関係がそこそこ強い問題に関しては,PSOは強くてお手軽です.
あまりにもお手軽なので,解析解があるような場合にもPSOで設計しちゃっていいんじゃないかと思うほどです.
理論を研究する立場としては,おもしろくないことこの上ないですが(笑).
しかし,前提となっているのはしっかりしたプラントのモデルで,実用上はこっちの方がネックになるでしょうから,次は連続時間のシステム同定と制御系設計を同時に行えるような理論の構築を目指したいなーとか思っています.
Campi先生のVRFTとかはすごく良いと思うのだけど,やっぱり離散時間システムのいやらしさというか,サンプリング間隔を短く取ることが必ずしも結果に寄与しないというのが単に腹が立つだけでなく,実用上も問題だと思うので.
一応,興味を持たれた方のために発表の参照情報を置いておきます.
Automaticaに投稿した段階では,制約条件の扱いをALPSOという方法で行っていましたが,これは複雑な上に性能が優れているわけではないので,IFACで提案した方法の方が優れていると思います.
I. Maruta, T.H. Kim, T. Sugie:
Synthesis of fixed-structure H-infinity controllers via Constrained Particle Swarm Optimization,
Proceedings of the 17th IFAC World Congress, Seoul, Korea, pp. 7843-7848 (2008. 7)
発表スライド(PDF)
ちなみに発表ではH∞ノルムに基づいた設計仕様を扱っていますが,応答とかに関する仕様を与えても,十分実用的に動くはずです.
そういう場合だと解析解が存在するケースや,もっと効率的な方法がある場合も少なくないでしょうが,PSOよりお手軽な方法はそうないでしょうから,PSOで失敗してから検討してみても良いと思います(笑)
PSOの実装については(自分でやっても大した手間ではないのですが‥)後日また書く予定です.
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