2015年12月25日金曜日

TeXclipで作成した数式を後で編集する方法

TeXclipで作成した数式を修正する必要があるとき,再度TeXのコードを入力するのが面倒だという要望を頻繁にお受けしますので,簡単な方法を以下で説明します.

TeXclipの画像には代替テキストとしてTeXのソースコードを指定しています.
したがって,普通にPowerPointにコピペした画像については,「図の書式設定」の「代替テキスト」のところからTeXのソースコードを回収することが可能です.

以下のスクリーンショットは PowerPoint 2016 のものですが,リボンインターフェースに変わる前のバージョン(2003くらい?)でも「図の書式設定」ダイアログで同様の情報を取得できたはずです.「図の書式設定」はバージョンによらず画像を右クリックすると表示されるコンテキストメニューから表示できると思います.


フォントや解像度の設定についてはお手数ですが手作業で復元してください.

2015年12月24日木曜日

AdWordsで個人開発のWebサービスを宣伝してみた

はじめに

刊行ペース検索」というサービスを作りました.これはコミックや小説などの過去の巻の発売日を検索し,まとめて表示するサービスです.
  • いつごろKindle化されるか?
  • 新刊はいつ頃発売されるか?
といったことを予想するために,過去の巻の発売日を調べる作業は意外と時間がかかります.周りの友人に聞いた感触では,同じようなことに無駄に時間を使っている人は多く,潜在的な需要はそれなりにあるWebサービスなんじゃないかと思います.


しかし,こういう「意外となかったけど便利系」のサービスは,能動的に探しにくるユーザーを期待できないので,放置しても誰も来ないです.自分のために作り,レンタルサーバーの余剰リソースで運用しているサービスなので誰も来なくても特に問題はないのですが,誰も使ってくれないと寂しくなるのが人情です.

というわけで,前々からやってみたかった Google の AdWords での宣伝を試してみました.

AdWordsの設定

キーワードの選択

AdWordsはGoogleで検索する時,キーワードに応じて検索結果に混ざって表示されているあの広告を出稿するためのサービスです.AdWordsに出稿する上では,どのキーワードで検索しているユーザーをターゲットにするか?ということが最大の問題ですが,
  • 競合する広告主の少なさ(安価に広告を出せる)
  • 検索者が抱えている問題を「刊行ペース検索」が解決できる可能性の大きさ
    (クリックあたりで料金が発生するので,「刊行ペース検索」の潜在的顧客だけにクリックしてほしい)
といった点を考えた結果「Kindle版」で検索している人をターゲットに選ぶことにしました.「Kindle版はいつ発売されるんじゃ~」と思っている人以外は使わなそうなキーワードなので,用がない人を呼び込みにくいだろうというのが狙いです.

予算の設定

つぎの問題は,いくらかけて何人くらいのお客さんを呼び込むかということです.AdWordsでは1クリックあたりに支払う金額の上限と1日当たりの予算の上限を設定することができますが,どの程度の投資が効率的かはキーワードにも強く依存し,初めてだと見当もつきません.

これについては,Googleが提供している「キーワードプランナー」というツールで,どのキーワードにいくら払えば,だいたいどれくらいのアクセスを呼び込めそうか?ということが予想できるようになっています.

(このツールが意外とおもしろいので,宣伝するべき適当なサイトをお持ちの方は,このツールで遊ぶために一度AdWordsを使ってみるのもいいような気がします.)

調べてみた結果「Kindle版」のキーワードだと,限界まで投資しても15人/日くらいしか呼び込めなさそうだったので,10人/日程度のペースでサイトに誘導するべく500円/日,30円/クリックを上限に広告を出稿することにしました.

AdWordsの効果

1か月ほどAdWordsで宣伝してみた感想は以下のような感じです.

集客できた

途中いろいろと調整しましたが,だいたい10人/日くらいのペースで集客できて費用は200円/日くらいでした.特に友達でもない人を10人もサイトに連れてくるのは実際なかなか大変なので,コストパフォーマンスは悪くないと思います.

テスターを確保するツールとして意外と優秀だった

ぬるいサンデープログラマーなので,テスターを雇うことは考えたこともなかったですが,AdWordsで誘致したお客さんの行動はサイトの構造や説明文のブラッシュアップを行う上でとても参考になりました.たとえば,
  • 雑誌で検索して失敗して帰る人が多い
  • 途中で出版社が変わるコミックシリーズがそれなりにある
  • 作者の刊行ペースを検索したい人が結構いる
  • スマホでのアクセスが多い(大きい表はイマイチっぽい)
  • (Kindleをターゲットにしているので当然かもですが)
    普通のサイトよりタブレットでのアクセスがかなり多い
といったことは,AdWordsで流入したユーザーのログを見てはじめて認識できました.

また,予算の設定で流入をかなりコントロールできるので,サイトをひっそり公開しつつ,変更するたびにユーザーを流入させて,サイトの出来をチェックすることができます.まともなWebサービスで,このようにテストとも宣伝ともつかないことをやるのは悪手のように思いますが,お気楽にだらだらと開発している個人のWebサービスでテスターを確保する手段としてAdWordsは有用でした.

いつもと違う人が来る

大抵,自分が作ったサイトは自分に似た属性の人が来るものですが,広告で集客すると傾向が変わります.今回の場合,想定していたよりも年配・女性の方を多く集客しているように思いました.

自分の想定が若年・男性にバイアスしているのか,広告をクリックする寛容な人が年配・女性に多いのかちょっと判断つきかねますが,自分と属性が離れた人を集めるのは普通難しいので,使いどころによってはすごく便利かもしれません.

おわりに

というわけで,意外と得るものが多かったAdWordsでの宣伝ですが,そろそろ利用パターンが出尽くしてリピーターが増えてきた感があるのと,通常の検索流入も増えてきたので打ち切ろうかと思っています.

個人でWebサービスを開発した場合,お金を払って宣伝することにハードルを感じる人が多いのではないかと思いますが,AdWordsでの宣伝はGoogleの技術の一端に触れることもでき,意外と楽しいのでおすすめです.

2015年12月4日金曜日

Arduino とレゴで倒立振子(3)電源の性能

かなり前に
という記事を書きましたが,その後これに関連して学会発表をしたり特集号の記事を書いたりしてブログの更新を忘れていました.

特集号の記事は
にあります.現在は計測自動制御学会の会員でないと全文が読めませんが,一年後(2016/3)から無料で読めるようになるはずです.

また,記事の補足として実験機が動作している動画を公開しておきます.


この実験は安定化されているモバイルバッテリーを電源にしていることのメリットを示すためのもので,ギリギリ安定化できている程度の性能が悪い(=よく揺れる)制御器でも14時間程度連続して倒立しており,電源の消費によって実験の再現性が損なわれていないことを確認するものです.

制御器を完全にチューニングすれば持続時間は日単位になると思いますが,あまり意味がないわりに面倒な実験なので試していません.長時間動作させる実験では,地面の起伏とタイヤの滑りで倒立振子が予想できない方向にじわじわ動いていくために,意外と広い実験場所が必要になることと,実験を記録するためのカメラの持続時間が問題になります.もし同様の実験をされる方がいらっしゃいましたら参考にしてください.

3年間授業でこの倒立振子を使っているうちに,いくつか新しい技術が利用可能になり,改善したい点もでてきたので,そのうちまた実験機と記事をアップデートすると思います.