2012年4月30日月曜日

Arduino とレゴで倒立振子(2)モータドライバの設計

前後の記事は
です.

少しずつ書いている実験用倒立振子製作メモですが,今回はモータドライバの設計について説明します.前回述べたようにモータの電流制御を行う必要があることと電源がUSBであることを踏まえると,モータドライバには
  • モータ電圧5V,ロジック電圧5Vで動作
  • 電流容量1A以上
  • 31kHz程度で電圧をON/OFFすることが可能
といった性能が求められます.電圧・電流に関する条件はUSBバスパワーの仕様から直接生じるものですが,最後の条件は電流制御に必要とされるPWMキャリア周波数によるものです.

2012年4月22日日曜日

Arduino とレゴで倒立振子(1) 設計意図

続きの記事は
  • Arduino とレゴで倒立振子(2)モータドライバの設計
  • Arduino とレゴで倒立振子(3)電源の性能
  • です

    4コマ(6時間)で制御工学を履修していない学生さんに倒立振子を制御してもらうという大変責任重大な学生実験の担当を拝命しました.

    引き継いだ実験装置もあったのですが,20年前のPC-9801で動いており,たまにエラーが出る状況だったので,学生実験に最適化したシステムに入れ替えようと思い立ち,マイコンは Arduino,機械部分はレゴというちょっと変わった構成で倒立振子を製作しました.

    実験装置の外観


    予備機製作の際のマニュアルも必要ですし,製作に必要な情報を徐々にブログにまとめていこうかと思います.第一回はこの実験装置の設計で特徴的なところをまとめ,大雑把な設計意図について説明します.

    2012年4月9日月曜日

    プロキシ環境下で Windowsマシンに TeX Live を入れる際のメモ

    PC移行時のTeX環境の構築は結構大仕事でしたが,
    最近は簡単に使えるインストーラが出てきたおかげですごく楽になりました.

    しかし最近主流になっているという噂の TeX Live をインストールしようとしたところ
    プロキシ関係で詰まったので解決法をメモしておきます.

    .wgetrc の設定

    TeXLiveのページによるとTeX Live のネットワークインストーラは
    ダウンロードにwgetを使用しており,ホームディレクトリに.wgetrcというファイルを作って

    http_proxy=http://hogehoge.net:8080/
    ftp_proxy=http://fugafuga.net:8080/
    use_proxy = on
    

    という感じに設定を書いておくとプロキシが使用されることになっています.
    ホームディレクトリがどこなのかわからないときは
    展開されたインストーラの中のwgetが含まれているフォルダ
    (例えば install-tl-20120406\tlpkg\installer\wget\)
    に入れておいてもいいようです.

    install-tl.bat のコマンドラインオプション

    上記の設定でうまくいくことを期待したのですが,install-tl.bat を実行してみると
    どうやら一旦プロキシ設定を使わないコードでのダウンロードを試み,
    失敗したあとでwgetを使ったダウンロードにフォールバックしているようで
    異常に時間がかかります.

    この場合,コマンドラインオプションをつけて
    install-tl.bat --no-persistent-downloads
    のようにインストーラを起動すると
    最初からwgetを使ってダウンロードしてくれるので
    現実的な速度でダウンロードができるようになります.

    tlmgr のコマンドラインオプション(2012/4/22 追記)

    TeX Live のアップデート時には tlmgr というコマンドを使うみたいですが,こちらにも同様の問題とオプションがあります. tlmgr 自身のアップデートには
    tlmgr update --self -no-persistent-downloads
    全てのパッケージをアップデートするには
    tlmgr update --all -no-persistent-downloads
    というコマンドを [スタートメニュー] - [TeX Live 2011] - [TeX Live command-line] で起動するコマンドプロンプトで入力すれば良いようです.

    2012年1月24日火曜日

    楕円と直線

    グラフは効果的な表現技法ですが,
    不適切な表現で誤った印象を与えかねないものも多くあります.
    (参考:3D円グラフを使うのはやめよう | Okumura's Blog

    勘違いしやすいグラフには幾つかパターンがあって
    注意していれば間違うことはあまりないですが,
    最近ちょっとおもしろいパターンを見つけたのでメモしておきます.

    まず上のグラフを見てください.黒い点は誤差を含んだ計測値で,
    赤い線は $y=\frac{1}{3}x$ ,青い線は $y=2x$  の式を表しています.
    この場合,赤線は青線よりも計測値の傾向をよく表現しているように見えます.

    一方,このグラフでは青線のほうが赤線よりもデータ点を良く表しているように見えると思います.

    しかし,実はこれらの2つのグラフは縦横の比率と表示範囲を変えただけで
    全く同一のグラフです.

    つまり,同じデータに対して,左の図を書いて $y=\frac{x}{3}$ の関係があると結論付けることも右の図を書いて $y=2x$ の関係を主張することもできてしまうわけです.

    ちょっと不思議な感じがしますが,
    • 線形変換は楕円と長軸の関係を保存しない
    • 人間は楕円状に分布するデータを見ると無意識に長軸の方向に線を引きたくなる
    といったことに留意すると納得できるかなと思います.

    教訓は,「楕円状のデータにあてがわれた直線の傾きで結論が出されているのを見たら,その直線がどういう基準で引かれたものか注意しなければならない.」ということでしょうか.


    おそらく Google Chrome 以外のブラウザでは動きませんが,
    スライダーで縦横比を調整できるグラフも下においておくので
    良ければ納得がいくまで遊んでいってください.